圧巻なのは、『DNA Ddyssey』です。8分55秒にも及ぶ大作で、『Gate of Heaven』を越える組曲です。変拍子を多用したり、ダイナミックな曲調の展開や転調の数々は、プログレッシブ・ロックと呼ぶにふさわしい楽曲なのですが、だからといってハードじゃない。聴きざわりがよいのにダイナミックに楽曲が進行し、8分55秒の間、一瞬たりとも飽きさせない構成になっているところがすごい。この時の高見沢俊彦というアーチストの才能は並大抵のものではありません。
個人的には、アルバムにシングルが入っているのが苦手です。このアルバムには『19(nineteen)』と『Faith of Love』の2曲もシングルが入っています。しかも、『Kitto』は中村雅俊へ提供した曲のセルフカバー(歌詞は英語)と、すでに聴いたことのある曲がいくつも入っていて苦手なはずなのに、これらが見事にアルバムに溶け込んでいるんです。そのあたりが、EMIに移籍後のアルフィーのアルバムからは感じられない部分です。